2012/07/30

はじめての卒業


新月の日、娘が卒乳しました。

正確には断乳というのかもしれないけど、ほとんど卒乳に近い流れで、

数ヶ月前から、自然に娘が自分でさよならする意思を育てつつ、

泣くこともなく、笑顔でお別れできたので、卒業という意味での、卒乳。


生まれてから19ヶ月間、一度も粉ミルクを飲まずに完全母乳してきたので、

実は娘よりも、寂しくてわんわん泣いてしまったのは私のほう。

娘は何度も「おっぱい、バイバイ!」と強くなった姿見せてくれたのに。


私にとっては、出産と同じくらい意味のあるものになった。

私のお腹から離れ、乳房からも離れていく。素晴らしい儀式。

今まで私の母乳を必要としてくれていたこと、

女として生まれて、乳房を授かり、小さな命を繋いでこれたこと、

心からの喜び、全身で嬉しくて、全てが愛おしくて、目頭が熱い日々が続いた。


新月の前日、卒乳のことをしっかりとお話した日の夜、

生まれて初めて娘が自ら授乳を拒否した。

何度も私の胸に手を振り、「バイバイ」と言う姿を見て、私も急に実感が湧いて泣いた。

娘はもうこんなに心の準備ができてるのに、実は私自身ができてなかったことに気づいた。

卒乳を決めてから、正直もやもやした気持ちが晴れなかったのは、

本当は娘が卒乳できるかの心配ではなくて、私自身のことだった。

外出時の授乳に困ってしまったり、夜中のおしゃぶり代わりの授乳にもへとへとになって、

正直、早く卒乳してくれないかな、なんて思ったりもしてた。

でも、いざお別れする時がくると、

授乳の時の娘の表情がかわいくて大好きだったこと、

その時間がとっても幸せだったこと、

あの場所、あの時間、あの空間があたり前になりすぎて気づいてなかった、

とっても愛おしい至福のときが、もうさよならだと思うと、

少し後悔して、寂しくて寂しくて、涙がぼろぼろ出た。


私が泣く姿を見て驚き、頭をよしよししてくれたり、

笑顔で「かあちゃん、ち。かあちゃん、ち。(好き)」と言ってくれて、

娘がこんなにも優しく成長してくれた姿に感動して、また泣いた。

生まれたばかりの時、私の母乳が生きるためのすべてだった娘が、

やがて歩き出し、言葉を発すようになって、授乳中に「おいしー」と言いながら、

私の腕の中でこんなにも、すくすく元気に大きくなってくれて、胸がいっぱいになった。

たぶんあんなに感情が高ぶって泣いたのは、出産の時以来。

私と娘の絆を温かく確認した時間。

弱虫で甘えん坊なのは、私のほうだったね。

いつも私を強くしてくれて、ありがとう。

もっとうんと強い「かあちゃん」になるから。

この夜は、私にとって忘れることのない、愛に溢れた素晴らしい夜だった。


新月当日の朝、最後の授乳を終え、

「もうこれでお別れね、バイバイ、ありがとうね。」とさよならしたあと、

不思議なことに、突然、娘が自分の名前『響花(おとは)』と言えるようになった。

自分を指差して、「おとあ!」って。始めからフランス語発音だけど。

娘が私からまた少し離れて、自分という世界を認識してく新しいスタート。


卒乳後、珍しく私はイライラの渦の中にいた。

それがホルモンの変化のせいだと気づいて気持ちがらくになった。

授乳という行為は、親子の心を落ちつかせあう作用がある。

それを手放した私たち、きっともうその必要がないということ。

ふたりでひとつ、ではなく、ふたりはふたり。

今回こんなにいろんな感情を体験したことで、とても温かい大きな気づきを受け取った。


子育ては親育て、と言うけど、実は逆で、

親が育たなければ、子は育たない気がする。


いつもお月さまと一緒に成長する私たち。

娘がはじめての卒業をしたこの日、お月さまもゼロになってスタートする。

宇宙の流れに乗って、その居心地のよい波に揺られて、新しい出発にぴったりの日。

小さな命、大きな生命力。

みんなたくましく生きてる。

娘と私、手を繋いで、ちょっと大人になったふたり、

どうぞお月さま、これからも見守り続けてください。


10 件のコメント:

  1. さよならするのって、本当に、本当に、難しい。
    今の私は、さよならの仕方が本当にわからない。
    自然に離れてゆくものは、手放すべきだろうけど、
    必要としているもの同士は手放せない。

    親と子、それがうまくできると、
    今後の関係もうまく築いてゆけそうです。

    おとはちゃんの卒業、ゆいさん自身の卒業、
    おめでとうございます。

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    1. チカちゃん
      
さよならは必然だと言うけど、どんなさよならも、その人にあった流れでやってくるんだと感じた。

      自然にさよならするのも、悲しみながら無理矢理さよならするのも、その人に与えられたさよなら。

      

どんなかたちでも振り返ることなく受け止める。

      そこから気づきが生まれて、また成長する。

      ってかっこよく言ってみるけど、卒業式はわんわん泣いたよ。。

      やっと落ち着いてそう思えるようになりました。

      さよならなんて誰が作った言葉なんだろう、本当は始まりなのにね!

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  2. たくさんの気づきにきちんと向き合って一つ一つ丁寧に、こんにちはも、さよならもしないといけませんね。
    卒乳おめでとうございます◎私も読んで近い未来を想像して泣いちゃいました。
    こちらはまだまだ母乳がすべての4ヶ月。
    長いようでとっても短い、生まれた瞬間から母と子にしか味わえない至福の時。
    毎回大切に感じようと思いました。
    ゆいさん、いつも大切なことに気付かせてくれてありがとうございます。

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    1. ふきさん
      こちらこそ、いつも温かいコメントありがとうございます。
      実は1歳になった頃に、一度卒乳しかけたのですが、
      歯がどんどん生えてくる時期と重なって、歯ぐずりと甘えで授乳再開になって今に至ります。
      あの頃は私自身、卒乳への満足感がなかったので、その後半年あげられて本当によかったです。
      遊び飲みや、おしゃべりしながら、生後数ヶ月の頃とはまた全然違う授乳の時間を楽しめました。
      卒乳から2週間が経ちますが、今日、おまるで初めておしっこができました!
      なんだか感動しっぱなしの日々です。

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  3. 卒乳おめでとうございます☆
    以前、おとはちゃん出産前後に何度かお邪魔させていただいてたacoです。
    今夏終わりに二人目出産予定で、春先から改めて過去のものからYUIさんのブログを読み直していました。
    おかげで息子の時より、穏やかな妊娠期間を過ごせた気がします。ありがとうございます☆

    うちは断乳という形で、息子にもずいぶん辛い思いをさせましたが、最後の授乳時はやっぱり私がわんわん泣きました。
    その後は保育園での初めてのバイバイ。別れた後、泣きじゃくりながら帰ったのを覚えてます。
    さよならとこんにちは、いっつも母の方が置いていかれてます。
    おとはちゃんとYUIさんの卒業を見て、息子にくわえて、またお腹の子ともこういうことがやって来るんだなーとぼんやり。楽しみです☆

    ご主人のご活躍とYUIさんの支えぶりにも改めて感動でした。私もちゃんと旦那を支えなくては、、と痛感でした;
    私事ですが、ご主人と同郷なので、あの小さな町からという感動もあったり、なんだか励みになったり。
    YUIさんが切り取った写真を見ると「ああ、こんなにキレイだったけ」と思わされたり。
    たまには帰りたいなーと久しぶりに思いました。ありがとうございます☆
    長々すみません;、またお邪魔させていただきます。

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    1. acoさん
      コメントありがとうございます♡
      お二人目ご出産予定なんですね!少し早いですが、おめでとうございます!
      私のbébéブログ読んでいただき..感激です。勝手な日記ですみません。

      acoさんのおっしゃる通り、母親のほうが置いていかれますね..
      子供って、振り返ることもなく、なんてピュアでまっすぐなんだろう、と思います。
      娘も9月から保育園に少しずつ通い始める予定なので、ソワソワした気持ちと楽しみな気持ちでいっぱいです!

      宮崎のご出身なのですか、なんだか嬉しいです。10月にまた帰る予定です。
      歳を重ねるごとに、自然と共に生きる、あの場所の良さがどんどん分かってきます。

      いつもありがとうございます。
      これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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    2. ありがとうございます☆
      予定日までまだしばらくあるのですが、ちょっと早めに出てきそうです^^
      bébéブログとこちらのブログから、随分と多くの気づきをいただきました☆

      保育園、やっぱり親の方がちょっぴり(だいぶ?)寂しいのですが、
      子供達だけの世界、それはそれは楽しそうですよ。
      おとはちゃんの更なる成長が楽しみですね☆

      10月に帰られるんですか、羨ましい!どうぞ楽しんでいらしてください♪
      私はあの町の更に山に囲まれたところで育ちました。
      イヤだった時期もある田舎、今は素直に良い所だなと思えます。
      私もお正月に帰れたら、第二子背負って息子と手をつないで、東霧島の階段登りたいなーと思います☆

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    3. acoさん
      こちらこそ、温かいお言葉ありがとうございます。とても励みになります!

      私も自分が海外に行くまでは、生まれ育った愛知の中途半端な田舎ぶりも宮崎のど田舎ぶりも
      好きなほうではなかったんですが、やっぱり離れて暮らすようになり、
      あの地の素晴らしさと有り難さをひしひしと感じます..
      パリに住みながら、できるだけ田舎臭い暮らしをしたいのです。笑

      秋に宮崎で、姪が通ってる保育園に少し遊びに行く予定もあるので、それも楽しみなのです!
      東霧島神社ももちろん登りますよ!

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    4. 日本に住んでるより、日本人を感じさせるパリでのYUIさんの暮らしぶり、とっても好きです。
      年々手塩にかける、ということが大事だなーと私も思いつつ、マイペースに暮らしていこうと思います☆

      帰省の際の保育園も楽しみですね〜。
      東霧島神社、頑張って振り返らずに登ってください^^

      最新記事のリンク先のお二人の写真ステキですね☆

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    5. acoさん
      こちらに住んでる日本人の友達も、日本にいる人よりも日本人ぽいかもしれません。
      チーズやワインよりも、お味噌とお醤油が恋しいのです。笑

      東霧島神社、今回は娘も自分で登れそうなので、振り返らずできるかな..笑
      いろいろ楽しみです!また宮崎滞在もご報告しますね。

      まずは元気な赤ちゃんの誕生を心から祈っています!!

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