2011/08/02

しんせつ


先日、娘を連れてベビーカーでバスを待っていたら、到着したバスは満員。
乗れそうもないので、しかたなく次のバスを待とうとしたら、運転手さんが大声で
「出口の近くにいるバックパックの人たち、どうか子供を優先して乗せてあげてー!」と言った。
バックパックを持った若い2人が、わざわざバスを途中下車して、笑顔で私たちに譲ってくれた。

妊婦の時も子供のやさしさに感動したことを書いたことがあったけど、
この国は、子供連れにも本当に優しい。
スーパーのレジや郵便局などでは優先してくれたり、
メトロの階段でベビーカーを運ぶのを助けてくれるのは普通だけど、
まさかバスの乗車の際までこんなに親切にされると思わなかった。

帰りのバスも満員ぎゅうぎゅうで、降りる予定のバス停のいっこ前で、
ベビーカー連れで乗れなそうな人がいたから、今度は私たちが降りた。
親切にされると、心がふわっと暖まって、親切にしたくなる。
あたり前のことなんだけど、この気持ちの輪が絶え間なく広がっていったら、
もっともっと平和な世界になるのに、と思った。

最近読んだシュタイナー関連の本にも、意味合いはちょっと違うけど
「成長しつつある子どもの肉体を健全に育てようとするならば、
 健全な欲求や欲望に対して、喜びを求める心に対して、親切に応じようとする態度が必要である。
とあり、子どもに対して親切に接すること」というのがとても温かく感じ、印象に残ってた。
子は親の鏡。まっさらな状態。
親を見て、できあがっていく。
子どもに対しても、他人に対しても、親切で丁寧にいられるように心がけなきゃと思った。

2 件のコメント:

  1. こどもに優しくしたいというのは、哺乳類が持つ基本的な本能だと思うので、どんな文化的土壌を持っていても、みんなこどもに優しくしたいのですよね。

    以前唯衣さんは、妊娠していた時の記事で、「日本ではどうだっけ…」と書いていましたが、日本では当たり前過ぎて意識にものぼらないのだと思います。
    日本人が子どもを慈しむながーい歴史を持つのに対し、フランスで子育てに親の愛情が不可欠だと意識されるようになったのは19世紀のこと。定着したのは20世紀です。
    それまでは母である以前に女であることを求められていましたから、今でも無痛分娩や粉ミルクが一般的なのでしょう。(と、私は想像します。日本は少子化の影響で子どもに接すること自体が少なくなっているので、子どもが多いフランスのほうがそういう場面に接する機会が多く感じるのかもしれません。)

    社会全体でそういう意識になったのが新しい概念だとしても、やはり人間の本能ですから、平和の和が広がる可能性は未知数だと思います。

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  2. 母親は無痛分娩、粉ミルク、瓶詰め離乳食に頼る子育てなのに、妊婦・子どもに優しい国。
    そこの矛盾さ?が気になってたのは確かにあるかも。
    ここは男性がやさしいし。それで調和がとられてるのかな、この国は。女性形だもの。
    でもフランスは、妊婦・子どもが特別なんじゃなく、他人との距離が、近い。宗教の影響もあるだろうけど。
    会話ひとつにしても、そう。同じマンションの見ず知らずの人に、お店の人に、必ず挨拶をする。

    みんな本能的に、子どもに、他人にはやさしいとは思うんだけど、
    その心をかたちに、行動に移せてるかどうかが、全然違うような気がする。
    日本って、本能で湧き出てくる他人への愛があっても、
    まわりの目を気にして、押し殺さないといけない社会になってるかんじがする。
    例えば、セクハラだったり痴漢呼ばれてしまったり、変なルールがあったり、
    他人と気軽に接することが難しい環境が作られてる。
    こっちに住んでる子連れの人が、みんな必ず口を揃えて「日本に帰ると誰も手助けしてくれない。
    困ってても、みんな知らんぷり」(都会に限ってだと思うけど)と言うので、
    不思議に思ってたけど、一昔前まではきっと違ったと思う。
    今は電車の中では携帯しか見てない人ばかりで、きっと本能すら鈍くなってる。
    ベビーカーを連れて公共機関を使うのは困難だと聞くし、
    子連れだと、逆に申し訳なく思いながら生活してるかんじだそう。
    他人との距離が、遠ーーい。そんなイメージ。
    私もその中で埋もれちゃうタイプかもしれない。だからこんな些細なできごとにも敏感に反応しちゃうのかも。
    チカちゃんは、根がやさしいから、まわりにもやさしい人が多いんだと思うよ。
    集まってくるものだもの。

    私は、日本政府が、これからの未来の子供たちを守るべく、
    もっと丁寧に親切に対応して欲しいと願うばかりです。
    まずは私たち、親、大人が意識を変えなければ。     

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