2012/01/12

おばあちゃんち

宮崎で行きたかった場所のひとつ、旦那さんのおばあちゃんち。

「ばあちゃーん。」と、ぽかぽか暖かく心地のよいお庭には、

私の大好きな、おばあちゃんお手製の切り干し大根が、ハンガーに吊られてずらーり。

こんなに太い大根が、一本一本にお日さまのエネルギーをぎゅうっと吸って縮まって、

甘ーくて、おばあちゃんのようにやさしーい味になる。

おばあちゃんの切り干し大根、梅干し、そしてお味噌は、私たちになくてはならない元気の源。


お庭に積んであった薪を見てびっくり。

おばあちゃんは今も薪を燃やして毎日お風呂に入っているそう。

一人暮らしのおばあちゃん。

毎日毎日せっせと家仕事をして、友達と遊びにも行って、

丁寧に、日々を楽しくこつこつと生きるおばあちゃん。

いつもニコニコしてて、愚痴を言ってるのは一度も見たことがない。

何十年も変わらない生活。笑顔の年輪が少しずつ増えていくだけ。


しわしわのあたたかい手で、目を細めて娘をよしよし撫でてくれた。

5人の子供を産んだおばあちゃんに、昔の出産や育児のこと、いろいろ聞かせてもらって感動した。

おばあちゃんが、妊娠することを「赤ちゃんがお腹に入ったらね」と表現していたのが、

ものすごくかわいくて、ほっこり温かい気持ちで満たされた。


今回の滞在、暖房のなかなか効かない極寒の家で、娘をおんぶして、

洗濯を干したり、布おむつを洗ったり、離乳食作ったり。夜泣きで寝不足になったり。

機内食用に用意したBioのレトルト離乳食以外は、全部手作りでいつも通り玄米と野菜のご飯を作れた。

家事はお母さんたちに頼ってはいたけど、それでも手がガサガサになりながら生活して、

朝はお日さまに当たって遊んで、美しい夕焼けや、夜はお月さまや星を見て、

冬の寒さ感じながら生活すること、とっても楽しく、忘れられないものになった。

コンビニでは一度も買いものをせず、テレビも自分からは見なかった。

どちらもパリでの生活にはないもの。本当は中身はからっぽ。


そしてとても違和感を感じた、100円ショップや大型ドラッグストア。

便利なもの、楽しいものもあるけど、本当は、お店まるごとすべてが必要ないと思った。

便利ではあるけど地球を汚すもの、便利を通り越して在る意味がないもの、かたちだけのもの、

健康を謳って体を汚すもの、過剰包装、不自然な匂い、光、音、色、空気、ぜんぶ。

おばあちゃんの生活にも、パリでの私たちの生活にも、必要なものはそこにない。

こういう場所がこれからもどんどん増えていって、私の娘が大きくなったとき、

娘が子供を産むとき、この地はどうなってしまうのだろうと心から思った。

遠くに連なる美しい山と、そこまで延々と続く田んぼ、畑、川、緑、空が、

ビニールとプラスチックの山に茶色い川、黄色い空になってしまいませんように...


「暮らす」ということをとても感じた滞在でした。

「暮らす」という言葉は、私にとって、アパートやマンションではなく、

土の上、緑と共に生きる、屋根のある家のイメージ。

自然に感謝して、質素でも良い食材、旬の恵み、その土地のものをいただき、季節を感じ、

お日さまとお月さまに感謝し、生活の知恵を使って、規則正しく早寝早起きして、生活すること。

インターネットは使うけど、洗濯機や炊飯器は使うけど、

できる限り自然と共生する。今ある現実と共生する。

元気を、健康を、自然は私たちに与えてくれる。

この前買った本に、『ちゃんと暮らす。それがいちばんのおくすり。』とあった。まさに。

小さく温かなアパートでの快適な生活で、「暮らしている」つもりだった私は、

大きく寒い家で冬の厳しさを感じ、家族の温かさ、

「暮らす」ことの大変さ、改めて気づかされた素晴らしい時間でした。


そんなことを噛み締めながら、新年を迎え、おばあちゃんの作ったおいしいお餅をいただきました。

おばあちゃんの知恵袋から、ゆるやかに溢れる温かく優しいお話たちが、

テレビや騒音、街中に溢れる電子音にかき消されないように、守っていきたいと、思った旅なのでした。




5 件のコメント:

  1. 全部好き!!!このお話。
    おばあちゃんの切り干し大根、私も感動して一生忘れない味だと思ったよ。本当に大事な事が一杯いっぱい詰まった暮らし、ピカピカのエネルギーが,読んでるだけで伝わって来る。おばあちゃんの周りは,沢山の愛に囲まれてるね☆

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  2. ミアさん、
    共感していただいて、どうもありがとうです。
    おばあちゃんの顔の皺って、愛し愛された証の数だけあるのかな、美しいなーなんて。
    私のほうれい線なんてかわいいものですね!
    しわしわの切り干し大根もあんなにおいしいんですもの。

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  3. ひとつずつうんうんって思いながら読みました。
    「ていねいに暮らす」を二人で進めていこうと出発点にたったワタシ達にとって
    とても大切なことがぎゅって詰まってた文章。

    ひとつひとつに「ありがとう」ってお礼申しながら生きていた
    私のおばあちゃんのことを思い出しました。
    私にもほんと不必要なものが世の中に溢れてて
    でも、みんな私みたいだったら、消費社会まわらないのかなあとか思ったり
    時々もやもやしてます

    でも、自分たちは自分たちなりにていねいに暮らしたいと
    ゆいさんの日記読んでて感じました
    らしく生きてたら 年を重ねるなんて怖くないですよね

    おばあちゃんの切り干し大根たべたい!
    人のこころぎゅって詰まったご飯がなりよりご馳走☆
    ゆいさんうらやましいですっ

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    1. りこさん
      本当、まさに、ひとつひとつに丁寧に「ありがとう」。大事ですよね。
      有名人よりもスターよりもなによりも、目指したいのは、おばあちゃん。です!
      ていねいな暮らし。らしく生きる。
      りこさんと旦那さまはそんなオーラがぷんぷん漂ってます。

      切り干し大根、りこさんなら作れそう〜
      切り干し人参もあるんですよ。
      おばあちゃんの作るお味噌は、それを越えるものにまだ出逢ってません!
      大豆のかけらがぼろぼろ沈殿してて、毎回味や色が違って、それはそれは素晴らしいのです。

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  4. ゆいさん☆
    嬉しいことば ありがとうございます!
    素敵でキラキラゆいさんが輝いてるのは、こんなエキスをぎゅぎゅっと
    詰め込んで生活してるからでしょうね! 
    私も一杯これからふたりで詰め込んで、前にすすんでいきたいとおもいます。

    切り干し人参!それもいいなあ 富山湿気多いのでどうなんだろ?
    でも、雪の寒干し大根あるのでできるんでしょうねえ やってみようかなあー
    おみそー! 発酵食品ラブなので気になりますっ
    少しずつゆっくりそだつってほんと素敵ですよね☆ 
    また、今度ゆっくりお話しましょう

    ゆいさんとの出会いは これからの生活のSTARTでの宝物になってます。

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